著者
渡辺 恒夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.159-165, 2003-03-01 (Released:2019-05-01)
参考文献数
6

明晰夢(夢の中で夢であることを気付く夢)が実際に生じることが、実験的に検証された。4名の被験者が、夢見ていると気付いた時に夢の中で特定の行動をとることにより、ポリグラフ上に観察しうる合図を送り出すことに成功したのだった。うち2名はレム睡眠中に、他の2名は段階1中に合図を送信した。次に、明晰夢の起こる心理的条件を発見するために、明晰夢に関する質問紙を作成し、「アイゼンク人格目録」および「菅原の自意識尺度」と共に大学生を対象として調査を実施した。その結果、明晰夢経験頻度と人格特徴の間にはいかなる有意な関係も見出されなかったが、自意識尺度中の「私的自意識」の得点との間には、有意な正の相関が見出された。この結果は、多くの人々が、その人格特徴のちがいにかかわらず、私的自意識を日常生活の中で強化するような訓練を積むことによって明晰夢を見る能力を高めうるということを、示唆するものと思われる。

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