著者
石崎 大介 淀 太我
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.63-71, 2018-10-24 (Released:2018-10-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1

感潮域に生息するニゴイ類が塩分環境を経験しているのかを明らかにするため,三重県宮川の感潮域で採捕したニゴイ類を用いて耳石微量元素分析を実施した.分析した成魚7 個体のうち1 個体は,耳石中心から縁辺部まで一貫して低い耳石Sr: Ca 比を示したことから,一生を淡水環境で生活したと考えられた.他の6 個体は,耳石中心から縁辺部までの間で耳石Sr: Ca 比が上昇し,変動したことから,塩分環境を経験したと考えられた.いずれの個体も,中心付近は低い耳石Sr: Ca比を示したことから,孵化後しばらく淡水域で生活した後,塩分のある水域に降下したものと推察される.また,縁辺部のみ高い耳石Sr: Ca比を示した個体,耳石中心から縁辺部までの中ほどで耳石Sr: Ca比が上昇し縁辺部まで高い値を維持した個体,1 度耳石Sr: Ca 比が上昇したが再び縁辺部では低い値を示した個体が存在した.このように耳石Sr: Ca 比の変動パターンは個体によって様々であったことから,個体によって塩分環境利用様式が異なることが推察されるほか,成魚も塩分のある水域で生活していると考えられた.本研究によりニゴイ類が塩分のある環境で生息することが明らかになった.

言及状況

外部データベース (DOI)

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ニゴイの移動はまだまだ不明な点が多いのですが、下流の塩分環境を経験していることは明らかにされています。この時期、産卵を控えて瀬に現れるニゴイたちは、どこで冬を過ごしているのでしょうか。 https://t.co/F5mtXeLjEy
実際にニゴイは汽水域のバチ抜けパターンで釣れますし、耳石によって塩分環境の経験も検証されています。冬場は汽水域にまで落ちるのが結構いるのかも・・と妄想している次第です。 https://t.co/ZhjGzcqGjM

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