著者
服部 健司
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.178-184, 2006-09-25 (Released:2017-04-27)
参考文献数
32

自分の健康を保持増進することを義務とする言説を批判的に吟味することが本稿の課題である。ただし、世界の諸国の保健の実情には大きな差があり、紙幅の制限上、考察をこの国をふくめた先進国に限ることにする。古典的公衆衛生から新公衆衛生運動への転回をながめたのち、健康増進をめぐる現今の言説の特徴を浮き彫りにする。それは、ヘルシズム、医学の擬似宗教化ならびに道徳化、疾病への過剰な意味の付与、日常生活の医療化、疾病の自己責任の強調、医療費削減のためのレトリックである。それぞれについての問題点をあげて検討しながら、健康を増進する義務というものがもしあるとするならば、それは国家の側にあること、ただしそれは国民に恣意的で一面的な健康像をパターナリズム的に押し付けることではなく、環境や社会資源、医療体制の整備に重点を置くものであるべきこと、つまり古典的公衆衛生が中心であるべきことを論じる。

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@kotokotoY66 ヘルシズムとかもいいんじゃないでしょうか?
「ヘルシズム」(健康中心主義)の話 面白かった 身内に思い当たる人がいるし自分にもそういう面がある https://t.co/82z7sxIbD5
ヘルシズムとかこういうことも勉強しておくといいかもですね。自己責任論は緊縮(医療費の抑制)と親和性が高かったりしますから

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