著者
木村 文輝
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.158-165, 2008-09-21 (Released:2017-04-27)
参考文献数
23

仏教は不殺生を基本理念としている。けれども、既に釈尊の時代から、仏教の立場において人が自らの死を選択する行為を是認してきた事例も存在する。それらの例を検討すると、そこには次のような条件が存在することが窺われる。すなわち、自己の死の選択が周囲の人々に承認された上で、以下の3つの事情のいずれかに該当することである。具体的には、(1)死期を目前にした者が、この世で為すべきことを為し終えたと自覚している場合、(2)自らの生命を犠牲にしても他者を救おうとする場合、(3)人生の目標の実現のために、自己の全存在を賭ける場合である。しかも、このような場面における「死」の覚悟と選択は、いずれも仏教的な意味における「人間の尊厳」を具現化するための有効な行為とみなし得るものである。本稿では、仏教が無条件の「生命至上主義」を主張するものではないことを論ずるとともに、そのような立場から、安楽死が是認され得る条件についての提言を行うことにしたい。

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「自殺」 を是認する仏教の立場 - J-Stage https://t.co/zSSjLDWYRm
不殺生戒っていうのは有名だけど、お釈迦ファンとしては「お釈迦様は自殺についてなんか言ってるかな」と思ってググったら論文あった。流石だよね。お釈迦様が重要なポイントで言い洩らしてるのってあんまりないんじゃないかな。 https://t.co/VHJZMLleDb
@lm8_sp 不殺生と自殺に関してはかなり混み入った研究成果があるようです。究極、自殺ならびに自殺幇助は事実上認めていたと考えて良いようですね…!しかし、出家修行者における死生観が現代とは異なる?という点も重要かと! https://t.co/AjEuSSvFP8 https://t.co/8zDYwqxdYI https://t.co/eOhPqeUxKI
最後に自殺を禁じなかった宗教として仏教を挙げ研究しているペーパーを見つけたのでメモ代わりに添付。暇なとき読もう。 https://t.co/S6bK6gfh5S
生きづらさを感じている若者への樹木希林さんからメッセージだが、自死した後に地獄で苦しむという言説は、これまで仏教でも民間で説かれてきたことも多い。しかし仏教学の研究からは、釈迦はなんでもかんでも全ての自死を否定したわけでもないことも分かっている。https://t.co/tgYT5aXyOz

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