著者
大北 全俊
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.94-101, 2010-09-23 (Released:2017-04-27)
参考文献数
13

本論考では、感染症対策、なかでも薬剤を使用しない非医療的な対策(nonpharmaceutical interventions:NPI)である隔離や検疫などの感染症対策をめぐる倫理的な問題とそのような対策を実施するにあたって必要と考えられる倫理的な配慮について明らかにすることを目的としている。主な倫理的な問題は、感染拡大の防止という社会的な利益を保全するために、個人の移動の自由やプライバシーの保護などの諸権利を制限せざるを得ないところに生じる。社会的利益と個人の権利・利益、両者をなるべく一致させる考えもあるが、個人の権利・利益の制限という事実は依然として残る以上、両者の均衡を図ることが不可避となる。しかし、両者の均衡を実現するということも根本的な困難をはらんでいる以上、当該施策が適切なものであるか否かということを公的に議論する過程や施策の対象となる個人への意見聴取など、両者の均衡を不断に模索する過程が倫理的な配慮として不可欠である。

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結局、防疫と人権とはどうしても対立してるので、どの程度の侵害なら公共の福祉に必要なのかという、要はバランスしかない? ─── J-STAGE Articles - 感染症の拡大を防止することと個人の権利を制限すること : インフルエンザ対策などにみられる倫理的な問題について https://t.co/Zg7ZEq0Yu3
J-STAGE Articles - 感染症の拡大を防止することと個人の権利を制限すること : インフルエンザ対策などにみられる倫理的な問題について https://t.co/Pk2JPmOQcS
政治学とは少し違いますが、公衆衛生倫理学では、「感染症の拡大防止という社会的利益と個人の権利の対立」について、以前から議論がなされてきました。(論点がまとまっている論文として、たとえば大北(2010):https://t.co/nQrL5NkK88) https://t.co/MsxBRrJnX1
#アシタノカレッジ ググって上の方にでただけのurlですけど、基本的な話は説明されてそうなのでご関心あればぜひどうぞ。「関係ないわけないだろ馬鹿」くらいすぐに言えるようになると思いますよ。 https://t.co/OqPzm1kpId https://t.co/okA23DQoSS
こちらの論文も前に紹介したのだ。 大北全俊「感染症の拡大を防止することと個人の権利を制限すること : インフルエンザ対策などにみられる倫理的な問題について」、『生命倫理』20巻1号、2010年、94-101頁 https://t.co/Y4tYLCTw0E https://t.co/fpnXIy8Oze
J-STAGE Articles - 感染症の拡大を防止することと個人の権利を制限すること : インフルエンザ対策などにみられる倫理的な問題について https://t.co/ZI1pv7YQ9D
大北全俊 「感染症の拡大を防止することと個人の権利を制限することーインフルエンザ対策などにみられる倫理的な問題についてー」 https://t.co/a9AHUD2uCv
それっぽい議論は見つけた  J-STAGE Articles - 感染症の拡大を防止することと個人の権利を制限すること : インフルエンザ対策などにみられる倫理的な問題について https://t.co/PrfcPcqnpl
②【文献・目次】 大北全俊「感染症の拡大を防止することと個人の権利を制限すること : インフルエンザ対策などにみられる倫理的な問題について」、『生命倫理』20巻1号、2010年、94-101頁 https://t.co/Y4tYLCTw0E ※無料 ③―④全体と個人の対立 ⑤―⑨一致 ⑩―⑫均衡 ⑬―⑰公的な正当化

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