著者
稲村 一隆
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.46-53, 2013-09-26 (Released:2017-04-27)
被引用文献数
1

本稿は、リベラル優生学の問題点、特に親が自分の受精卵に特定の遺伝子を挿入することによって子供の能力を増強しようとする積極的優生学の試みが、各人は自分の生き方を選択する権利を持っているというリベラリズムの基本原則に適合するかどうかを検討している。リベラル優生学によれば、子供の遺伝子を変えることと環境を変えることは同じように評価すべきである。しかし本稿の見解では、環境を変える場合、親は子供の意向を配慮しているが、遺伝的介入の場合、親は子供の反応を全く受け取ることなく、自分の望みを押し付けている。したがって親は「生殖の自由」を持っているが、単なるエンハンスメントを目的にした遺伝的介入を行う自由はないと本稿は議論している。また本稿はリベラル優生学に関する、カス、ハーバーマス、サンデルによる批判を検討し、これらの批判は人格に関する遺伝要因を強調しすぎている点を指摘し、人格に関する遺伝と環境の複合要因を認めたとしてもリベラル優生学の非リベラルな性質を指摘できることを示している。

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J-STAGE Articles - リベラル優生学の問題点 : 子供の特質を高めるために遺伝子工学を用いることについて https://t.co/0vC6c3tTR2
@Qarmyjapan11 変態だね
「リベラル優生学によれば、子供の遺伝子を変えることと環境を変えることは同じように評価すべきである。しかし本稿の見解では、環境を変える場合、親は子供の意向を配慮しているが、遺伝的介入の場合、親は子供の反応を全く受け取ることなく、自分の望みを押し付けている。」https://t.co/eCzXXtEDQJ https://t.co/DDw1Q5TVmI

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