- 著者
-
河崎 健
- 出版者
- 日本選挙学会
- 雑誌
- 選挙研究 (ISSN:09123512)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.1, pp.15-27, 2013 (Released:2017-11-03)
- 参考文献数
- 29
本稿は,ドイツ連邦共和国の選挙制度である「個人化された比例代表制」を構成する小選挙区制と比例代表制がどのような理由で導入されたのかを考察することを目的としている。比例代表制が,第二帝政期の社会民主党と,小選挙区制下での社民党のさらなる躍進を恐れる右派勢力により導入されたように,党派的思惑が大きく作用している。これに対して,第二次世界大戦後の選挙制度改革では,ワイマール共和国とは異なる形での比例代表制の導入には広範な合意ができたものの,個人を選ぶ要素を導入することにより党派間で対立が生じた。このように戦後,比例代表制導入に合意ができたことは,(戦前と異なり),政党が政治的意思決定に不可欠な存在として,公法上も認知されたことが大きく作用している。