著者
栗田 宣義
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.122-138,188, 2000-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
36

「教育水準」「被雇用者」「消費財保有」「資産保有」といった4系統の社会経済カテゴリーの通時的変動をみると,1955年から1995年にかけての40年間における日本社会の変動は,(1)高学歴化,(2)被雇用者化,(3)消費財普及,(4)資産格差の持続,といった4点に要約できるが,この社会経済変動と社共支持率低落を関連づけ,インテリ左翼溶解仮説,労働者左翼溶解仮説,脱物質仮説,資産格差仮説からなる左翼主義逓減の説明モデルを提示する。SSMデータを用いた5時点のロジスティック回帰分析によれば,労働者左翼溶解仮説を除いては,ほぼ仮説の確認がなされた。かつて,1955年時点では,高学歴層,被雇用者層,消費財を持たない層,資産を持たない層が左翼主義であった。日本社会の変貌は左翼主義への支持を溶解,矮小化させ,40年後の1995年時点には,被雇用者層,資産を持たない層のみが左翼主義である構造にとって代わられたのである。社民党が左翼大衆政党としての歴史的使命を終えた構造的背景がここにある。

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