著者
光武 範吏
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.161-165, 2016 (Released:2016-11-24)
参考文献数
9
被引用文献数
1

甲状腺未分化癌は,頻度が少なく,また極めて悪性度が高いため,これまでまとまった解析の報告は少なかった。2015,2016年に3つの次世代シークエンサーを用いた甲状腺未分化癌の網羅的ゲノム解析結果が報告されたので,本稿ではそれらをまとめて紹介する。甲状腺未分化癌では,分化癌で見られるドライバー変異のうち,BRAF,RAS変異の頻度が高く,それらの重複はなかった。RET/PTCなどの融合遺伝子は全く検出されなかった。未分化癌で頻度が上昇している遺伝子変異は,TP53とTERTプロモーター変異が約70%で最も多く,その他は,PI3K-AKTシグナル経路を活性化する変異,クロマチンリモデリングに関与する変異などであった。今後は,同定された変異の分子機能解析を進め,臨床応用可能な標的の同定を行っていく必要がある。多施設共同研究を進め,研究の進展を促進させることが望まれる。

言及状況

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2016年のこの論文では結構出てくる。 https://t.co/jDrpo9eM07 まあ未分化がんが対象なので必然的に多くなるのか?
おっとあと一つが光武氏 https://t.co/jDrpo9eM07 2016年にも書いておりました。 未分化癌で頻度が上昇している遺伝子変異は,TP53とTERTプロモーター変異が約70%で最も多く という感じでp53が結構出てくる この研究だけ全エクソンに対するシークエンスを行っているため,
昨日見つけた関連論文 https://t.co/BXcZSN6Ut6 https://t.co/jDrpo9eM07 https://t.co/tGRLHa4LTN 最後の これに対して小児PTCsは成人例に比べて遠隔転移が高頻度に認められるにもかかわらず,予後が比較的良好であることが特徴である. そこで小児PTCsにおけるBRAF遺伝子異常の頻度を検討した. https://t.co/w1gmC36sCb
@Anti_Jigokudama 光武論文が https://t.co/EPsow3ZlkV 2016年ですか、こっちの方が前だな。 BRAF,RAS変異の頻度が高く,それらの重複はなかった。RET/PTCなどの融合遺伝子は全く検出されなかった。 こっちがサイエンスリポート https://t.co/pM3x8gqtEb
甲状腺未分化癌の網羅的遺伝子解析: 最新の研究成果のレビュー https://t.co/wvEV5ixZwz
@sinwanohate なかなかハイレベルな御質問ですが > 未分化の状態に近くなる これは未分化にBRAFが多い(BRAF/RASで排他的)ですが、その発症頻度からもBRAF単体でけではなく別のトリガが関与する必要があると思います。 https://t.co/UNNrWOykhc https://t.co/Bbav5meKeC
@parasite2006 分化がんではがん遺伝子、未分化がんではさらにがん抑制遺伝子に変異がある傾向はあるようです。https://t.co/mbtTvzOZAv NGSの解析力おそるべし、です。もっとも、エンドポイントでの解析なので元々、変異の性質が違う可能性もありますよね。

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