著者
大宮 卓 佐藤 光 西村 秀一
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.463-467, 2020-07-25 (Released:2020-09-05)
参考文献数
9

鼻腔拭い液等の臨床検体からのイムノクロマトグラフィーを原理としたインフルエンザウイルス抗原の迅速検出キット(以下,迅速キット)は,多くの医療施設で使用されている。こうした迅速キットを用いた試験では結果として偽陰性が起こることは,よく知られている。一方で偽陽性反応も,まれではあるが起こる。今回我々は,迅速キットでA,B両型の陽性を示したものの,ウイルス分離及び遺伝子検査でインフルエンザウイルスが陰性で,その後,用いた臨床検体からRSウイルスが分離された事例を経験した。我々はこれを迅速キットの偽陽性反応と考えた。この偽陽性の原因について我々は,検体中に含まれる患者由来の抗体以外の何らかの成分が迅速キットで用いられているマウス由来の抗体に対し反応し,あたかもウイルス抗原が反応したかのような陽性ラインが出現したという仮説をたてた。そして,その証明を目的として,競合試験として当該患者検体に精製マウスIgGを反応させたのち迅速キットにかけたところ,陽性反応ラインは出現しなくなった。これにより,本例が患者由来の何らかの成分とマウス抗体との反応による偽陽性であったことが,強く示唆された。

言及状況

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@yaba_megane イムノクロマト法による 迅速キットにおいて 用いられている抗体に反応する物質が 検体の中に存在していたのではないでしょうか? 臨床検査技師の老婆心です https://t.co/DFPkaRnJBv
インフルエンザウイルス抗原迅速検出キットで A,B 両型陽性を示し,種々のウイルス学的解析により偽陽 性反応が確認された 1 例について https://t.co/M3szetCSZw https://t.co/KKzabTcpsF
インフルエンザウイルス抗原迅速検出キットで A,B 両型陽性を示し,種々のウイルス学的解析により偽陽性反応が確認された 1 例について https://t.co/lku5WUfToo
@dragoner_JP インフルエンザ迅速抗原キットの場合、AとB両方に偽陽性が出ることがあり得る(https://t.co/50oLqY3qWs)ので今回もそういう例じゃないかなという気がします。 ちょっと前に別の方でもそういう例がありました。 https://t.co/udM90WZRdY
@oceanus_ossy こういうことでしょうか。 https://t.co/HN5BtBxSt7
@NaKaChArLiE 担当の検査技師さんが不在でメーカーからの文章は参照できませんでしたが、機序としてこんな感じのことが書いてあったと思います。咽頭拭い液にどのアイソタイプの抗体がどの程度含まれるかは不勉強でわかりません。勉強しておきます。 https://t.co/KyPYkGeuMh
全部陽性ならおそらく試薬に使われるマウスやウサギモノクローナル抗体に対する抗体による偽陽性ではないだろうか?もちろん、今の流行状況なら十分ありえる話だけど。PCRまでしてみたいところではある。 https://t.co/sPE7gpaY3p https://t.co/utXRyHwYri
今の流行状態なら起こらなくもなさそうだけど、おそらく抗マウス抗体による偽陽性なんじゃないかな。稀にあるらしい。 https://t.co/sPE7gpaY3p https://t.co/lMrcKGfsHm
@Hermit_Crab_19 インフルエンザの抗原検査も偽陽性がまれに出るようで研究対象にしている方も  ↓ インフルエンザウイルス抗原迅速検出キットでA,B両型陽性を示し,種々のウイルス学的解析により偽陽性反応が確認された1例について https://t.co/kaeHE8Wd0B
たまに突然出てくるインフル陽性例ってこれは関係ないのか? どっから来るんだ? https://t.co/BIYlw04OBR

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