- 著者
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馬場 英朗
- 出版者
- 日本NPO学会
- 雑誌
- ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.2, pp.83-95, 2007 (Released:2008-04-04)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
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NPOと行政の協働が叫ばれる状況下,NPOへの委託事業が増加しているが,十分な対価が確保されず,NPOが安価な下請先とされる懸念もある.この点,NPOと行政の協働が進むイギリスでは,フルコスト・リカバリーの考え方を示し,直接費だけでなく,間接費も含めた全てのコストをNPOが回収するように提言している.本稿では,イギリス及び「NPOと行政の協働に関する実務者会議」(愛知県)の議論を参考に,NPOが回収すべきフルコストの範囲を検討し,愛知県下3例の協働事業についてフルコストの試算を行った.その結果,行政による積算はフルコストの5割から7割しかカバーしておらず,事業内容に見合った人件費単価が設定されていない,事業に必要な経費が漏れなく計上されていない,団体を維持するために不可欠な間接費が見込まれていない,という問題点が明らかになった.ただし,NPO側にも,本当に必要な人件費や間接費の水準を示すことができていないという問題がある.