著者
松嶋 優貴 白旗 慎吾 坂本 亘
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.201-219, 2004-12-25 (Released:2009-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
4 3

ウェーブレットは不規則,不連続な関数(または信号や画像)を効率的に表現するための道具であり,スケーリング関数,ウェーブレット関数と呼ばれる2種類の関数から作られる基底関数の線形結合によって関数などを表現する.スケーリング関数,ウェーブレット関数の組(この組もウェーブレットと呼ばれる)については,すでに数種類が開発されており適宜選択することができる.しきい値法(Thresholding)は,ウェーブレットによるノイズ除去のための代表的な手法であり,観測値にもとづく関数の推定を基底関数の線形結合で表現するための係数を「しきい値」と比較し,しきい値よりも絶対値が小さな係数の値を0で置き換える.この置き換えによって小さな変動を無視することによりノイズを取り除く.しかし,しきい値法によって得られるノイズ除去の結果はウェーブレットの種類に依存するので,しきい値法で用いるウェーブレットの種類によってしきい値法の結果も異なる.それゆえに観測値に応じてウェーブレットを選択する必要がある.本論文では種々のウェーブレットから観測値に適するものを数値的に選択するための基準を示す.選択基準としてはAIC(赤池情報量基準)を用い,選択の対象となるウェーブレットの中で最小のAICをとるものを最良として選択する.小さなAICに対応するウェーブレットほどしきい値法における考えをよく満たすことが,AICを選択基準として採用した根拠である.AICによるウェーブレットの選択法について,その適用結果を図によって例示し,シミュレーションを行うことにより,AICが適切なウェーブレットを選択することを示す,また,ウェーブレットを選択するための他の方法(最小自乗法,MDL法)との比較を行う。

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