著者
寒川 旭
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.191-202, 2013-10-01 (Released:2014-08-10)
参考文献数
52
被引用文献数
5 6

考古学の遺跡で地震を研究する分野である地震考古学は,1988年に誕生した.遺跡に刻まれた地震痕跡は,遺構・遺物との関係から年代を絞り込むことが可能で,平面および断層形態を詳しく観察することもできる.例えば,南海トラフの巨大地震については,文字記録から発生の歴史がかなり把握されているが,地震痕跡の発見によって史料の空白を埋めることが可能である.また,活断層から発生した地震については,周辺の遺跡で地震痕跡を観察することによって,地震動による地盤災害の様子がわかり,被害の文字記録と合わせて地震の全体像を把握できる.液状化現象・地滑りなどの地変については,遺跡で詳しい観察が可能なので,これまで知り得なかった新たな知識を得ることが多い.一方,歴史学や考古学の立場からは,地震という概念を導入することによって,これまで謎とされていた現象が合理的に説明できるようになり,地域の歴史をより正確に把握することができる.

言及状況

外部データベース (DOI)

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CPD稼ぎの一つの講座は、これ↓に関するもの。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaqua/52/5/52_191/_pdf "液状化"は、海岸部だけではない!と言うことを知らされました。 まあ、考えればそうなのですが、地層に残ることが凄いですね。 ただ、考古学の立場からは、そうした観点で見ていなかったようで、事例はかなり多くあるのではないかと感じまし ...

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@pmagshib 寒川(2013)に「古墳時代と弥生時代後半に発生した液状化跡についても,南海トラフから発生した可能性が高いもの」として近畿のほかの遺跡が図示されているので,今回のを最古というのは難しいかなあ.まあネットで見られる本文では「最古」とは書いてのですけれど https://t.co/6RFqd3QM3M
歴史記録はないが南海トラフ地震に関連すると考えられている遺跡はいくつかあって寒川旭さんのこのまとめでも紹介されています https://t.co/8jUOgywTMe
地震考古学に関する成果の概要 2013 https://t.co/9rAC2q136K
@bow1965 第一東海自動車道遺跡No.35地点がそれのようですね。PDF→ https://t.co/Chjw03REFa

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