著者
土居 裕和
出版者
一般社団法人 日本社会福祉マネジメント学会
雑誌
日本社会福祉マネジメント学会誌 (ISSN:24364061)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.21-28, 2021 (Released:2021-07-09)
参考文献数
43

自閉スペクトラム症(ASD)の人々は,言語情報・パラ言語情報の処理障害を呈することが,多くの研究により示されている.しかし,ASD 者における音声言語情報処理障害の原因については未解明の点が多い.一見すると大きく異なる言語音と音楽は,その音響的特徴に多くの共通性がある.そこで,本稿では,ASD 者の音楽認知についての先行研究をもとに,ASD における音声言語情報処理障害の原因を議論した. 先行研究の多くは,ASD 者が,定型発達者よりも優れたピッチ知覚能力を有することを示唆している.また,ASD 者のメロディ知覚にも非定型性は認められていない.その一方で,ピッチ・メロディ知覚と同じく,音の基本周波数情報を利用する韻律情報処理においては,定型発達者よりも低い成績を示すことが少なくない.音楽認知と音声言語情報処理にみられるこのような乖離は,ASD における音声言語情報処理障害が,言語音特有の音響的特徴に起因する可能性を示唆している.

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ASD 者が定型発達者よりも優れたピッチ知覚能力を有することを示唆している.また,ASD 者のメロディ知覚にも非定型性は認められていない.その一方で,ピッチ・メロディ知覚と同じく,音の基本周波数情報を利用する韻律情報処理においては,定型発達者よりも低い成績を示す.. https://t.co/U96B19kGRA
あとで/"音楽認知の観点からみた自閉スペクトラム症における非定型的音声言語情報処理《総説》;土居裕和 2021 https://t.co/H9Vj4dEXwD

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