著者
木島 由晶
出版者
The Japanese Association for the Study of Popular Music
雑誌
ポピュラー音楽研究 (ISSN:13439251)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.16-39, 2006 (Released:2009-10-29)
参考文献数
20
被引用文献数
2

近年の路上演奏は、都市部における青年文化の文脈で捉えられやすい。本稿はこの観点を継承し、大阪有数の都市である心斎橋周辺をモデル・ケースとして、路上文化の今日的な様相を示す。分析の前半では、169名分のインタビュー・データを整理して演者の意識の傾向を把握する。これをふまえて後半では、フィールド・リサーチの知見を導入して路上文化の特色を位置づける。以上の分析から得られた知見は、つぎの3点である。(1)路上文化が定着した要因には、通行人に対する意識の低下よりも、路上に対する安心感の高まりが大きい。(2)路上で自由に演奏してもよいという感覚は、今日では演者当人をこえて、演者をとりまく警察や自治体の側に波及している。(3)こうした状況の変化は、演者の二極化傾向を促進させる。一方は、通行人を意識しないで気ままに演奏を楽しむスタイルであり、他方は、通行人を強く意識してレコード・デビューを目指すスタイルである。

言及状況

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ちなみにこのエリアにおける路上演奏の調査が昔行われていたりします https://t.co/QBpdAs3IfP
完全に元の話題からそれてるけど面白い 路上演奏者の公共感覚 -心斎橋の弾き語りシンガーを事例として- https://t.co/Grs96EjiL8

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