著者
吉田 満梨
出版者
日本ベンチャー学会
雑誌
日本ベンチャー学会誌 (ISSN:18834949)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.15-30, 2022-03-15 (Released:2023-04-26)

本研究の目的は、近年アントレプレナーシップ研究において注目される「エフェクチュエーション(effectuation)」に関するこれまでの研究潮流を確認し、今後の研究可能性について考察を行うことである。はじめに、エフェクチュエーションとは何かについて概要を確認した上で、Academy of Management Review 誌で同概念を発表したSarasvathy(2001)以降のエフェクチュエーションに関する研究のレビューを行い、いくつかの先行研究に共通する研究課題や、学会誌における論争を踏まえながら整理した。そうした研究の蓄積は、エフェクチュエーションの有効性についての経験的証拠を提供し、その構成要素に関する理解を深め、適用範囲の境界条件を明らかにすることを通じて、さらなる研究発展に貢献してきたと言える。最後に、アントレプレナーシップ研究におけるエフェクチュエーション研究の意義を、Simon(1996)の「人工物の科学」との関連性から整理し、今後の研究可能性について検討する。

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