著者
水野 篤 平井 啓 佐々木 周作 大竹 文雄
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.12, no.Special_issue, pp.S32-S40, 2019 (Released:2020-03-17)
参考文献数
16

日本における乳がん検診受診率は欧米諸国の受診率(60–80%)と比較し低い水準にあり,受診率向上に向けた取り組みが重要と考えられる.本研究では,行動経済学的観点から利得フレーム・損失フレームに基づく受診推奨メッセージが与える影響に関して検討する.乳がん検診の主対象である40・50歳代の女性のうち,自治体検診・主婦検診の乳がん検診の対象者と想定できる者1,047名に対し,インターネット上で検診受診意図に利得フレームと損失フレームが与える影響をランダム化比較試験にて評価した.利得フレームと損失フレームでの実行意図,受診意図を認めた対象者は,それぞれ234 (45.0%) vs 250 (47.4%), 450 (86.5%) vs 477 (90.5%) であり,実行意図は有意ではなかったが,受診意図に対しては有意に損失フレームが影響を与えた.乳がんの検診受診においては危険回避度のみではなく,同定確率および治癒率を含めたモデルでより説明が可能であることを実験的環境で示し,本データでも再現性を確認した.

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【乳がん検診受診行動におけるフレーミング効果の検討 インターネットランダム化比較試験の結果の考察_行動経済学 第12巻 大会特別号(2019)32‒40】 https://t.co/Y0Z5g9PWyS

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