著者
茂木 啓司 野澤 知世 鈴木 巧 中村 年希
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-15, 2020 (Released:2019-12-02)
参考文献数
17

本論の目的は,奨学金が過剰に受給される原因を明らかにするとともに,それを解消するための施策について検討することである.高校生と大学生を対象に,奨学金の借入が必要な状況を想定した仮想的質問を含む質問紙調査を行ったところ,奨学金を借りる選択をした被験者のうち約42%は将来の破産リスクを過小に評価していた.さらに,奨学金申請フォーマットについて,毎年の借入金額を選択するもの,および選択肢を部分的に記入式にしたものの方が,実際の申請フォーマットよりも被験者の借入金額が有意に小さくなった.以上より,奨学金の過剰受給を解消するため,利用者に対して「延滞のリスクを強調すること」および「申請書類のフォーマットを変更すること」が有効であるといえる.

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奨学金過剰受給の解消に向けた行動経済学的アプローチ - https://t.co/a9boS5DjIs #ScholarAlerts
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第2回行動経済学会の学生論文コンテストの、優秀賞受賞論文が公開されました。 奨学金の金額選択デザインを変更するという発想がシンプルで、なるほどなーと感心しました。 学生対象の実験も普通なら弱みになるところ、テーマ的に強みに転じているのが良かった。 https://t.co/KJXOeF0E9K https://t.co/pqg80ezfW0

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