著者
村山 千尋 尾内 康臣 千住 淳 山末 英典
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.18-24, 2022 (Released:2022-10-15)
参考文献数
32

自閉スペクトラム症(ASD)の原因や病態はその多くが未解明である.それに対し,陽電子断層撮像法(PET)は,生体内の特定の分子の分布や動態を定量的に測定できる強力な研究手法である.2020年以降,ASDを対象としたドーパミン受容体のPET研究が立て続けに報告されており,ASDの病態へのドーパミン系の関わりが注目されている.本稿では特に,私たちが行ったASDの線条体外領域におけるドーパミンD2/3受容体のPET研究を紹介する.この研究によって,ASD者では,ドーパミンD2/3受容体の豊富に存在する線条体外領域全体でドーパミンD2/3受容体結合能が有意に低下していることが明らかになった.中でも視床枕に相当する視床後部領域で結合能の低下は最大であり,この低下は,ASDの社会的コミュニケーション障害の重症度と相関していた.また安静時機能的MRI研究と組み合わせることにより,この線条体外領域におけるドーパミンD2/3受容体結合能の低下が,ASD者における社会脳領域の安静時機能的結合性の変化に関係していることが明らかになった.

言及状況

外部データベース (DOI)

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https://t.co/hPhsw9eMpg 図5で 定型とASDとで社会感情にかかわる機能的結合性とD2密度の関係に相違があることについては 冒頭で触れられている 「ASD 者では前頭眼窩野に おいてドーパミン輸送体の結合能が上昇しており, しかもセロトニン輸送体の結合能と逆相関」 という点が要因として考えられる
村山の報告https://t.co/hPhsw9fkeOで「D1R結合能に有意差がない(久保田)」と触れた一節について同大鈴木の報告https://t.co/JdQKAeDpsnを念頭に置いていたのですが、
自分の脳見てみたすぎる https://t.co/LuHPjWo0We
https://t.co/hPhsw9eMpg で昨日浜松医科大学のレポートを見つけたんですが 結果からいうとASD群は確かに前頭葉以外でのD2分布が定型より少ない。 つまりD2は抑制神経系であるために頭頂葉側の領野が発達しやすいということですが https://t.co/LV3IK30RMg

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