著者
藤木 大介 中條 和光
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.9-23, 2005-03-31 (Released:2010-10-27)
参考文献数
34
被引用文献数
3 1

文の意味表象は,句の主要部以外の構成素のスキーマと主要部スキーマとの統合を繰り返すことによって形成される複合概念であると考えることができる.本研究では,構成素スキーマと,それを主要部スキーマのスロットに統合するための条件との間の整合性の照合を伴う文理解のモデルを提案した.もしその条件が満たされないならば,スロットの選択制限は理解者の世界知識と無矛盾となるように拡張され,再びその整合性が照合される.このモデルに従うと,名詞句の読み時間と文容認可能性判断課題に要する反応時間は照合の回数を反映するはずである.読み時間(実験1)と文容認可能性判断課題の反応時間(実験1,2)を,典型名詞句を伴う文と,これよりも多くの照合回数を必要とする非典型名詞句を伴う文とで比較した.2つの実験において,読み時間と反応時間とが典型名詞句文よりも非典型名詞句文で長くなった.これらの結果はモデルからの予測と一致したものであった.

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