著者
渡邉 修
出版者
一般社団法人 日本交通科学学会
雑誌
日本交通科学学会誌 (ISSN:21883874)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.3-11, 2017 (Released:2019-02-21)
参考文献数
21

交通事故後、脳外傷に起因する高次脳機能障害を発症することがある。その発症には、受傷時の意識障害の程度が強く関連し、Glasgow Coma Scaleにて8点以下の重症例では高次脳機能障害は必発する。受傷機転から前頭葉および側頭葉が損傷を受けやすいことから、高次脳機能障害の中でも、特に注意障害、遂行機能障害、記憶障害および社会的行動症障害がみられやすい。社会的行動障害としては、自発性の低下、うつ、易怒性等がみられ、社会復帰を阻害する大きな要因であり、その家族の精神的負担感も大きい。交通事故は、生産年齢である若年層に多いことから、その後遺症と対応策についての社会的関心は高い。重症例であっても、脳外傷は時間をかけながら緩やかに回復していく。したがって、医療機関は、患者および家族に対し、メンタル支援を視野にいれ、地域の社会資源と連携し、継続的な包括的リハビリテーションの体制を構築していく必要がある。

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