著者
渡嘉敷 亮二
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.125, no.2, pp.185-190, 2022-02-20 (Released:2022-03-10)
参考文献数
6

音声障害は耳鼻咽喉科の中でも極めてなじみの薄い分野であり, 音声障害に関する十分な知識を持ち合わせている医師は少ない. しかしながら音声言語障害はコミュニケーションの障害であり, 潜在患者数や治療の需要は極めて多い. 例えば吃音の有病率は幼少期で8%, 成人でも1%であるが耳鼻咽喉科医はその治療にほとんど関与していない. 言語聴覚士と協働し音声障害の治療に積極的に参加することはコロナ後の耳鼻咽喉科の在り方としても極めて意味のあることと思われる. 一方でこれを推進していくためにはいくつかの問題がある. 一つは医師・言語聴覚士ともにこの領域に関する知識が浅いこと. もう一つは言語聴覚士の雇用に伴う支出に見合うだけの収益が得られるかということで, これが成り立たなければ言語聴覚士の雇用促進も患者の需要に応えることもできない. 前者に関しては, 声帯結節や加齢性の声の機能低下に対するリハビリテーションは診療所レベルでも容易に行える. 吃音や構音障害については病態や治療法に対する理解と学習が必要だが, 上述のように極めて多くの患者が存在するため治療の需要が多い. 本来耳鼻咽喉科医と言語聴覚士が協働して治療や研究に当たるべき疾患であり, 今後積極的に取り組むべき分野である. 後者に関しては同じリハビリテーションを行っても施設基準により診療報酬が倍以上違う, あるいは, 非常に時間のかかる言語機能に関する諸検査に対して診療報酬が設定されていないなどの問題があり, 学会レベルで改善に取り組む必要がある.

言及状況

外部データベース (DOI)

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「音声障害領域での現状と問題点」というタイトルで、新宿ボイスクリニックの先生が吃音について触れてくださっています。これを機により多くの耳鼻咽喉科の先生方が吃音に興味・関心を抱いてくれるとありがたいなと思っています。https://t.co/jcPvpPUSEp

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