- 著者
-
飛田 範夫
- 出版者
- 公益社団法人 日本造園学会
- 雑誌
- ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.5, pp.391-394, 1996-03-28 (Released:2011-07-19)
- 参考文献数
- 8
禁忌は信仰・俗信上で禁止されている行為だが, 「もし… すると, … になる」という言い方で, 人々の日常生活の行動を束縛している。鈴木巣三編『日本俗信辞典』は最もよく禁忌事例を集めていて, 100種類ほどの悪いとされる庭園用植物が挙げられている。この事例を分析してみると, 禁忌を犯した場合は病気や死, 家の没落を招くとするものが多い。その根拠は, 植物の名称との語呂合わせ, 植物の形状からの連想, 信仰や家相との関連, 山野の植物の拒否, 偶然からのもの, 利用面の嫌悪などである。将来起こりうる災難を可能な限り逃れようとして, 身の回りの事物に気を配っていたことが, 庭園植栽の禁忌にも現れているといえる。