著者
徳永 章二
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.333-342, 2001-07-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
11
被引用文献数
2

この総説では平均への回帰,multilevel model,ポアソン回帰について解説した。同じ対象者を2回測定すると,「平均への回帰」という問題が起こる。これは,2回目以降の測定値は1回目の測定値より平均値に近い傾向がある,という現象である。例えば,1回目の検査値が高値だった対象者だけを選んで臨床試験や経過観察を行うと,その後の介入に何ら医学的効果がなくても,2回目の測定時には検査値の低下が観察される。この現象の起こる統計学的要因を説明するとともに,平均への回帰によるバイアスに影響されない統計解析の方法として共分散分析を解説した。繰り返し測定で得られたデータの解析にはmultilevel modelが有効である。複数の治療法の効果をある測定値に注目して比較する場合,この統計学的方法を適用することによって,治療法による測定値の差,測定値の時間的変化,測定値の時間的変化の治療法による違い,等に分解でき,それらが統計学的に意味のある差なのかを検定することが可能となる。目的変数が来院人数や患者発生数といったeventの発生数である場合,通常の直線回帰は適用できない。この場合の統計解析にはポアソン回帰が適切である。ここではポアソン回帰を発生率の解析に使う方法を解説した。医学データの解析では注目している発生数を解析する際に,しばしば観察時間を考慮に入れる必要があるからである。最後に統計解析パッケージ・ソフトウェアを簡単に紹介した。

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