著者
緒方 康介
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.89-104, 2018-08-27 (Released:2018-09-19)
参考文献数
29

犯罪心理学においては,少年非行と再犯に関してメタ分析より得られたエビデンスが蓄積されている。14歳未満で刑罰法令に触れた少年に対する児童相談所の指導効果を検証することが本研究の目的である。児童相談所のケース記録から,82名の再犯ケースを含め344の非行ケースを抽出した。生存時間モデルを採用した本研究では,最長観察期間を5年とした。Kaplan–Meier推定法による生存時間分析の結果,3つの交互作用が検出された。①実父母家庭,②共犯,③特別法犯のケースに継続面接を(特に4回以上)実施することに効果があった。さらに,被虐待歴のある少年では極端に再犯リスクが高いこと,児童自立支援施設の再犯抑止効果は施設退所後に失われがちであることが示された。以上の結果に基づいて,児童相談所の非行対応には少しの有効性と多くの課題が残されているものと結論した。

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