著者
富田 昌平
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.177-188, 2009-06-10 (Released:2017-07-27)

本研究では,サンタクロースのリアリティに対する幼児の認識を調べた。研究1と2では,私たちは"昼間に保育園のクリスマス会で出会う大人が扮装したサンタ"(直接的経験)と"夜中に子どもの寝室にプレゼントを届けてくれるサンタ"(間接的経験)について子どもにインタビューした。その結果,4歳児は大人が扮装したサンタを"本物"と判断する傾向があるのに対し,6歳児は"偽物"と判断する傾向があることが示された。他方,6歳児は夜中にプレゼントを届けてくれるサンタを"本物"と判断していることが示唆された。研究3では,研究1と2の2種類のサンタに加えて,"デパートで出会うサンタ","昼に子どもの家を訪問するサンタ","夜に空を飛んでいるサンタ","夜にサンタ国に子どもを招待するサンタ"について,本物か偽物かの判断を求め,その根拠も求めた。その結果,5歳児は外見の類似をもとにサンタを「本物」と判断する傾向があるのに対し,6歳児は伝承されているサンタクロース物語と登場文脈との一致をもとに,"寝室","空の上","サンタの国"サンタを「本物」,"デパート","保育園","玄関"サンタを「偽物」と判断する傾向があった.以上の結果は,サンタクロースのリアリティ判断の発達における直接的経験と登場文脈の影響という点で議論された。

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「サンタクロースを実在の人物と信じている子どもの割合が、4 歳児85%、6歳児65%、8歳児25%」 発達とともにサンタの概念を理解しだしてその表象を信じるようになり、しかしながら次第に現実との齟齬に気づきだす、、、このプロセスは認知発達の精査にとても有用だと感じる https://t.co/ddVpx7pArr
クリスマスイブなのでサンタクロースの論文を読もうと思います。 J-STAGE Articles - 幼児におけるサンタクロースのリアリティに対する認識 https://t.co/QSswk2S7NY
サンタ概念のラーニングプログレッションズでも考えるか。 幼児におけるサンタクロースのリアリティに対する認識 https://t.co/QSswk2S7NY
J-STAGE Articles - 幼児におけるサンタクロースのリアリティに対する認識 https://t.co/jlmK9O69H4

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