著者
直原 康光 安藤 智子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.12-25, 2020 (Released:2022-03-20)
参考文献数
51
被引用文献数
3

本研究の目的は,別居・離婚後の父母葛藤や父母協力が,父母の別居・離婚に伴う心理的苦痛を媒介して,青年・成人の心理的適応に与える影響を明らかにすることであった。6歳から15歳までに父母が別居し,母親と同居することになった現在18歳から29歳までの男女275名を分析対象とした。別居・離婚後の父母葛藤や父母協力,父親との交流が,父母の別居・離婚に伴う心理的苦痛や現在の心理的適応に影響を及ぼすという仮説モデルに基づき,男女で多母集団同時分析を行った。分析の結果,別居・離婚後の父母葛藤は,子どもの葛藤受け止め,父母の別居・離婚に伴う心理的苦痛を表す「自己非難」や「子どもらしさの棄却」を媒介して,自尊感情や抑うつ・不安との関連が認められた。また,別居・離婚後の父母の協力は,「父との交流実感」や「母の情緒的サポート」を媒介して,「自己非難」や「子どもらしさの棄却」との負の関連が認められるとともに,自尊感情や抑うつ・不安との関連も認められた。最後に,男女で有意差が認められたパスについて,それぞれ考察を行った。

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同居親が母、別居親が父に限定したもの(このパターンが約9割だった)だが、信頼性がありそうな調査。 別居・離婚後の父母葛藤・父母協力と子どもの心理的苦痛,適応等との関連:児童期から思春期に親の別居・離婚を経験した者を対象とした回顧研究(直原 康光ら,2020) https://t.co/CnchRz3lQH https://t.co/BYNupMPR24

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