著者
伊藤 美奈子 中村 健
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.121-130, 1998-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14
被引用文献数
4

本研究では, 教師312名とカウンセラー121名を対象に, 次に挙げる (1)~(4) の項目に基づき制度に対する両者の意識や意見を尋ねた。(1) 双方が教師・スクールカウンセラーに期待する役割,(2) スクールカウンセラーに必要と考える条件,(3) 制度への関心,(4) 制度導入に伴う変化の予測である。また, カウンセラーについては, 学校経験 (教職歴) の有無により二分し (経験あり群・経験なし群), 教師群を含む3群間で比較検討を行った。その結果, 教師群では双方の専門性をいくぶん折衷した役割を期待するのに対し, 経験なし群は両者の専門性を強調した関わりを良しとし, 経験あり群は教師・スクールカウンセラーどちらにも積極的な関わりを期待していた。またスクールカウンセラーに求める条件としては, 双方ともに専門性を最優先していたが, 3群間の比較より, 教師群は「教職経験」についても相対的に重視していることがわかった。また制度への関心や期待度は, 経験あり群が最も高く, ついで経験なし群で, 教師群は制度に対する関心も低く情報量も少ないことが示唆された。今後の見通しについては, 積極的に評価した経験あり群に対し, 教師群では生徒指導上の不安を, 経験なし群は教師集団との関係において少々の不安を感じていることが示唆された。

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とはいえSC導入初期において現場では、教師はカウンセラーに心理臨床を期待しておらず、むしろ教育・指導者的側面を期待しているという報告もあるから、やはり政策の狙いと現場でのズレはあったのだろう。 学校現場 へ のス クール カ ウ ンセ ラー導入につ いての意識 調査 https://t.co/lIrbYiy3V3

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