著者
奥村 弥生
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.403-413, 2008-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
5 8

人は, 自分の怒りを恥ずかしいと感じたり, 自分の悲しみを大切なものと思うなど, 自己の情動に対して評価を抱くことがある。このような「自己が経験した情動に対する肯定・否定の価値づけを伴う評価」について, 本研究では「情動への評価」として取り上げ, 大学生ら558名に質問紙調査を行って検討した。分析1で, 情動への評価を測定する尺度を作成し, 信頼性・妥当性の検討を行った。この情動への評価尺度は,「他者懸念」「必要性」「負担感」の3つの下位尺度から構成された。次に分析2で, 情動への評価と情動認識困難および情動言語化困難との関連について検討した。その結果, 情動への否定的評価 (「他者懸念」と「負担感」) は, 認識困難・言語化困難傾向と正の関連を持っていた。これにより, 情動への評価は, 情動がシグナルとして適応的に機能するか否かに重要な役割を担っていることが示唆された。

言及状況

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「悲しみを感じるのは申し訳ない」「悲しみを感じるのは弱い」といった認識をもっていると、そもそも自分が悲しんでることを認識できなくなったり、他者に悲しみを説明しづらくなったりするらしい。とすると、そもそもの認識を変えるよう自分も周りも働きかけてかなきゃ、だ。https://t.co/SkNE3z8naT https://t.co/hjXaeLQ4Lq

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