著者
大平 英樹
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.95-104, 1989-02-20 (Released:2010-02-26)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

本研究では, 宥和情報による責任性についての評定が生理的喚起と報復攻撃の強度決定におよぼす効果について検討した。宥和情報の提示時期 (攻撃前, 攻撃後) と宥和晴報の程度 (中程度, 高程度) が独立変数として操作され, さらに宥和情報を与えない統制群を加えて5つの実験群が設けられた。被験者は教師一生徒パラダイムの第1試行において実験協力者から強い攻撃を受け, 第2試行において報復の機会が与えられた。本研究において得られた主な結果は以下のとおりである。1. 攻撃を受けることにより各群被験者の生理的喚起の上昇がみられたが, 宥和情報を攻撃前に提示された群では上昇の程度が他の群に比べて低かった。2. 直接的攻撃と間接的攻撃という2つの相異なったタイプの報復攻撃がみられた。3. 直接的攻撃では, 宥和情報の程度が高い場合は提示時期にかかわらず攻撃低減の効果がみられたが, 中くらいの程度の場合は攻撃前に提示したときにのみ攻撃低減の効果があった。ここでは, 生理的喚起と攻撃者の責任の評定の両方が報復攻撃の規定因となっていることが示唆された。4. 間接的攻撃では, 報復攻撃の強度は宥和情報が攻撃前に提示された場合にのみ低減され, 宥和情報の程度は効果を持たなかった。ここでは, 生理的喚起が報復攻撃の重要な規定因なっていることが示唆された。

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