著者
小平 英志
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.165-174, 2002-04-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

本研究の目的は, (1) どの程度の被調査者が理想自己と義務自己の2種類の自己指針を区別しているのかを確認すること, (2) 現実-理想不一致と現実-義務不一致がそれぞれ自己肯定感, 自己否定感と強い関連があるという自己不一致理論 (SDT) の想定を, 優越感・有能感自己嫌悪感を指標に検証すること, (3) 現実-理想不一致, 現実-義務不一致と優越感・有能感, 自己嫌悪感との関連における相対的重要性の影響を検討することであった。女子大学生219名を対象に, 自己不一致測定尺度, 優越感・有能感尺度, 自己嫌悪感尺度, 及び自己指針に関する質問票が実施された。その結果, 理想自己と義務自己を異なる状態であるとした被調査者は4割ほどであり, 同じ状態であるとする被調査者が3割以上確認された。自己不一致と優越感・有能感自己嫌悪感との関連では, 現実-理想不一致は優越感・有能感, 自己嫌悪感の両方と, 現実-義務不一致は自己嫌悪感とのみ関連が有意であった。続いて, 相対的重要性から理想自己重視群, 義務自己重視群, 両自己重視群の3群に分割し, 偏相関係数を算出した。その結果, 理想自己を重視する群では, SDTの想定通り, 現実-理想不一致と優越感・有能感, 現実-義務不一致と自己嫌悪感との問のみに有意な関連が見られた。義務自己を重視するとした被調査者は全体の15%未満であり, いずれの偏相関係数も有意ではなかった。両方の自己を重視している群では, いずれの偏相関係数も有意ではなかった。本研究の結果から, 少なくとも理想自己を重要であるととらえる被調査者においては, 自己不一致と感情との弁別的関連がより明確になる可能性が示唆された。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (4 users, 8 posts, 1 favorites)

【実験社会心理学研究・掲載論文】小平英志(2002) 女子大学生における自己不一致と優越感・有能感, 自己嫌悪感との関連 https://t.co/mr3OB8UJim
【実験社会心理学研究・掲載論文】小平英志(2002) 女子大学生における自己不一致と優越感・有能感, 自己嫌悪感との関連 https://t.co/mr3OB8UJim
【実験社会心理学研究・掲載論文】小平英志(2002) 女子大学生における自己不一致と優越感・有能感, 自己嫌悪感との関連 https://t.co/mr3OB9bMkm
【実験社会心理学研究・掲載論文】小平英志(2002) 女子大学生における自己不一致と優越感・有能感, 自己嫌悪感との関連 https://t.co/mr3OB9bMkm
【実験社会心理学研究・掲載論文】小平英志(2002) 女子大学生における自己不一致と優越感・有能感, 自己嫌悪感との関連 https://t.co/mr3OB9bMkm
J-STAGE Articles - 女子大学生における自己不一致と優越感・有能感, 自己嫌悪感との関連 https://t.co/thSBNN89Ok

収集済み URL リスト