- 著者
-
畑野 快
溝上 慎一
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育工学会
- 雑誌
- 日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.1, pp.13-21, 2013-05-20 (Released:2016-08-10)
- 参考文献数
- 27
- 被引用文献数
-
14
本研究の目的は,大学生の学習を態度と時間の2側面から捉えた上で主体的な授業態度に着目し,その測定尺度(Active Class Attitude scale;ACA尺度)の妥当性の検討を行い,主体的な授業態度と授業内,外学習時間に基づいて学生タイプを作成することで,大学生の学習を量・質の両方の側面からサポートする視点を検討することであった.そのために大学1年生204名を対象とした質問紙調査を行い,まず主体的な授業態度と学習に対する積極的関与との弁別性を因子分析によって検討したところ,主体的な授業態度と積極的関与の項目が異なった因子に負荷することが確認された.次に主体的な授業態度と授業内学習時間,授業外学習時間,自主学習時間との相関関係を検討したところ,主体的な授業態度は全ての学習時間と有意な正の関連を示すことが確認された.最後にクラスタ分析によって主体的な授業態度と授業内,外学習時間に基づく学生タイプを作成したところ,5つの学生タイプが得られた.以上の結果を踏まえ,ACA尺度の弁別的,収束的妥当性及び学生タイプに基づいたサポートの方策について議論を行った.