著者
田端 雅進 井城 泰一 田村 美帆 渡辺 敦史
出版者
一般社団法人 日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.87-95, 2023-03-01 (Released:2023-03-29)
参考文献数
32

国宝・重要文化財の保存・修復のために日本産漆の増産や安定供給が不可欠である。しかしながら,漆滲出量の多いクローンはほとんど明らかになっていない。本研究ではDNA分析によって茨城県7カ所の分根由来のウルシ林におけるクローン構造を解明し,複数のウルシクローンの漆滲出量を測定した。さらに漆滲出長,成長特性および葉特性と漆滲出量との関連性を調べ,漆滲出量の間接的な評価が可能な指標を探索した。その結果,調査したサイト1~7においてクローンA~Jの10クローンが検出され,検出されたクローンEが全体の約50%を占め,植栽個体に特定クローンの偏りが生じていた。漆滲出量はクローン間で有意な違いがあり,また胸高直径においてもクローン間差が認められ,胸高直径が大きいクローンで漆滲出量が多かった。また,成長・葉特性についてはサイトが異なってもクローンの順位がほとんど変わらず,10年生前後から20年生の個体を対象に漆滲出量の多いクローンを漆滲出長に加えて胸高直径や葉特性から簡易に判別できると考えられた。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (7 users, 7 posts, 15 favorites)

ボキボキ折れるのは、幹に対して葉がデカすぎるからなのでは…?残念な生き物に見えるけど、葉の大きさが漆の出る量の目安になると言われている。 https://t.co/kBaMhSc0oe 埼玉の漆畑は奥久慈の分根苗が多いので、この出るクローンのも混じってるかもしれないと言われています。あったら良いな
国⽴研究開発法⼈森林研究・整備機構森林総合研究所と #九州大学 の研究グループは、漆⽣産量の多い個体は樹が太く、葉が⼤きいことを明らかにしました。本成果は、今後の国産漆の増産や安定供給に役⽴つと考えられます。 論文:https://t.co/8J8WBMVobE https://t.co/BiBZdLKt4S #九大研究成果 #九大

収集済み URL リスト