著者
木村 真人
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.2-10, 2011-01-15 (Released:2014-10-11)
参考文献数
31

わが国における脳卒中患者は,致死率の低下と高齢化に伴って増加を続けている。脳卒中後の後遺症として,うつとアパシーは非常に頻度が高く,脳卒中患者のQOLに大きな影響を及ぼす。精神症状を引き起こす病変部位や病態生理学的メカニズムについては,いまだに議論が続いている重要な課題である。脳卒中後うつ病の抗うつ薬治療によって,ADLや認知機能ばかりでなく,生存率までも改善させることが示されており,適切な診断と治療は非常に重要である。また,抑うつ心性を伴わないアパシーが本来のアパシーと考えられ,その場合には,SSRIのような抗うつ薬よりもドパミン作動薬などが有効であり,休養よりも活動的・行動療法的アプローチが必要になる。今後,脳卒中後患者に対してはチーム医療による対応とともに,適切なケアと援助を提供できるような地域ネットワークの構築が望まれる。

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「脳卒中に伴う精神障害」 木村、日本医科大 https://t.co/GEh6dt2u1v 脳卒中後には自発性の低下を主体としたアパシー(無感情)を呈することが少なくない 抑うつは感情障害因子だが、apathyは身体行動因子 抑うつ心性を伴わないapathyでは、休養ではなく、活動的・行動療法的なアプローチが必要
脳卒中に伴う精神障害 https://t.co/QqDK9p2kH0 脳卒中後のうつと意欲低下 https://t.co/t7bbo8kKSS

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