著者
丸山 昌一 西 真理子 厳島 行雄
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.117-127, 2005 (Released:2017-06-02)

本報告では、事後情報が提示される媒体の違いが目撃者の記憶に及ぼす影響について検討した。参加者は、16枚からなるオリジナルスライドを提示された後に、事後情報として他の参加者による感想をVTRによる音声付き動画、または同一の内容を逐語化し紙面に印字したものによって提示された。ターゲット刺激3点の再認成績について各個に検討を行った結果、刺激項目の種類によっては、「ビデオ」による事後情報の提示が「紙面」による提示よりも強い誤情報効果をもたらすことが示唆された。これは「テレビなどによる視覚情報の方が事後情報として強い影響力を持つ」という仮説を支持する傾向ではあるが、本実験において用いたビデオ刺激が映像的に派手な演出を抑えたものであったことからも、紙面提示条件の誤情報検出力が上がったことによる影響も考えられた。このことは、参加者が個々のぺースで事後情報に触れることができたことによって、差異検出原理(Principle of Discrepancy Detection)が働いたものであると解釈することができる。なお提示モードにかかわらず事後情報効果を受けやすかった対象は、ある種の文脈における特定の動作を描写した項目であり、スクリプトの影響がその理由として考えられた。

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