- 著者
-
岡ノ谷 一夫
- 出版者
- The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
- 雑誌
- 音声言語医学 (ISSN:00302813)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.4, pp.364-370, 1999-10-20 (Released:2010-06-22)
- 参考文献数
- 23
鳴禽類においては歌はオスがメスを性的に誘引するための行動である.また, この行動は幼鳥期に親から学習される行動である.一般に鳥の歌は複数の歌素を固定した順番に配列することでできている.しかし, ジュウシマツの歌は特異で, 複数の歌素を非決定的に配列してうたう.この配列規則は, 有限状態文法としてあらわすことができる.どうしてジュウシマツの歌はこのように複雑なのであろうか.まず, 解剖学的なレベルでの局所破壊実験により, 歌を制御する階層的構造が明らかになった.次に, 機能を知るためのメスの好みを測定する実験により, 複雑な歌はメスの性選択により進化したことが示唆された.さらに, ジュウシマツの祖先種であるコシジロキンパラのオスの歌はより単純であるが, メスは潜在的に複雑な歌に対する好みをもつことがわかった.以上の結果から, 複雑な行動の進化と脳の変化について考察し, ヒトの言語の起源に迫る手がかりとしたい.