著者
正富 宏之
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.69-71, 1999-01-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
11

マナヅル Grus vipio は,アムール川流域の中国とロシアで繁殖し,長江流域や朝鮮半島のほか,九州の出水でナベヅル G.monacha などと共に越冬する.江戸時代までマナヅルは日本各地で見られたが,昨今は出水を除き散発的に現れるに過ぎない.日本でこれまで本種の営巣確認例はなかったが,1985年に北海道中央部の長沼町舞鶴地区の水田あぜ道で産卵したとの情報を,1997年11月になって入手した.その後1998年6月までに現地調査を数回行い,繁殖は成功しなかったものの1番いが2卵を産み,1羽(性別不明)が6月28日に死亡(おそらく農薬の影響)したのを確認した.巣は極めて粗雑で,イネ科草本(Poa spp.)の叢上にわずかな枯れ草を置いた程度とのことであった.今回の営巣地域はかつて広大な湿地で,タンチョウ G.japonesis も繁殖していたが,今は干拓され営巣適地はない.現在道東で繁殖しているタンチョウも,人の活動領域近くで貧弱な巣作りと産卵を行うことがある.本例も,マナヅル本来の繁殖環境と異なるところでのやや異常な営巣ながら,日本における本種の営巣初確認例である.

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@pririn_ 追加です。 1985年 に北海道でマナヅルが営巣(日 本初記録) https://t.co/lfCDKsNj94

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