著者
打越 文弥
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.18-30, 2018-04-30 (Released:2019-04-30)
参考文献数
27

本稿は,先進国に共通した世帯収入の不平等化の要因として指摘される,女性の労働市場への進出が世帯間格差を拡大させるという仮説を検証する.先行研究が前提としてきた仮定が日本には当てはまらない点を指摘した上で,本分析は「働き方とライフスタイルの変化に関する全国調査」を使用し,マクロレベルの不平等生成プロセスの一端を,女性の就業と収入の変化という個人のミクロレベルの分析から明らかにする.分析結果の知見は以下の3点に要約される.第一に,女性の就労は世帯間の不平等を緩和するという平等化仮説が支持された.第二に,既存研究が指摘してきた女性の高学歴化と労働市場への進出の「緩い」関係が示された.第三に,高学歴・正規継続カップルでは夫婦共に収入が伸び,不平等化に寄与することが示唆されたが,このグループが全体に占める割合はわずかであり,全体としてみれば妻の就労は世帯間の収入格差を減少させる方向に働く.

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気づいてませんでしたが、2018年に家族社会学研究に掲載された論文が(たぶん)平成最後の日にオンラインで読めるようになってました。これも「からみる」シリーズ。 「夫婦世帯収入の変化からみる階層結合の帰結:夫婦の学歴組み合わせと妻の就労に着目して」 https://t.co/TNobKtJ6Gs

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