著者
余田 翔平
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.98-106, 2018-04-30 (Released:2019-04-30)
参考文献数
14

本稿の目的は,パネルデータを用いて,有配偶女性の就業とメンタルヘルスとの関係をめぐる2つの相反する仮説を検証することである.第1の仮説は役割過重仮説と呼ばれ,多重役割がメンタルヘルスの悪化をもたらすと予想する.第2の仮説は役割展開仮説と呼ばれ,職業役割の獲得は社会的アイデンティティにつながるためメンタルヘルスにも良好な影響を持つと予想する.クロスセクションデータを用いた先行研究によると,日本ではこれらのいずれの仮説も支持されていない.「全国家族調査パネルスタディ(NFRJ08-Panel)」を用いた分析の結果,時間不変の個人特性を統制すると,有職時は無職時よりもメンタルヘルスが良好なことが確認された.この結果は役割展開仮説と整合的であり,有配偶女性が職業役割から心理的メリットを得ている可能性を示唆するものである.ただし,本稿には方法論上残された課題やデータの制約も多く,それらについて最後に整理する.

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有配偶女性の就業とディストレス-NFRJ08-Panelによる検討- https://t.co/Sgypwpf8oJ 「全国家族調査パネルスタディ(NFRJ08-Panel)」を用いてパネルデータ分析を実施。個人特性を統制すると、有職時は無職時よりもメンタルヘルスが良好。

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