著者
山田 昌弘
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.13-22, 2005-02-28 (Released:2010-02-04)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

家族は必要かという問いかけには, 多様な意味が含まれている。そこで, 個人にとっての必要性のレベルとして, 「意味」と「機能」の二つに分けて考える。特に, 現代社会においては, 機能上の欲求に還元できない, 家族に関わる意味上の欲求 (アイデンティティ欲求) を考察しなければならない。第一の近代・家族においては, 機能上の欲求とアイデンティティ欲求が結合されていた。それは, 「家族の機能的な欲求を充足することが, アイデンティティ欲求を充足させることになる」という形をしたイデオロギー (家族神話) によって, 維持されていた。しかし, 第二の近代の進行とともに, 個人化が進展し, あらゆる家族に関する規範や神話が批判にさらされる。家族神話が失われれば, 家族に関する不満が一気に噴出し, 家族に関わる欲求充足が「市場競争」にさらされることになる。その結果, 家族によるアイデンティティ欲求が満たせない人々, 機能的欲求が満たせない人々が出現する。

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来週の学会の貴重講演が、家族社会学の山田昌弘氏なので、何か読んでおこうと思って読んだのが面白かった~。2005て古すぎ?でも、頷くばかりなんだけど、またそう言うとご指摘ご指導いただくかしら。 『 家族神話は必要か?-第二の近代の中の家族-』 https://t.co/XzQLyjWFi5
家族神話でググって出てくるこの論文、https://t.co/KduQDd4sGo「狂気から逃れるためには,別 の狂気をもってするしかない 」って冒頭で引用されてたけどこの筆者も家族に狂気的な人がいたのかしらと思ってしまった。 結論としてはとても興味深かったし安心した

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