著者
小川 真里子
出版者
一般社団法人 日本産業精神保健学会
雑誌
産業精神保健 (ISSN:13402862)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.15-20, 2023-03-30 (Released:2023-03-30)
参考文献数
13

近年,更年期障害による労働損失が莫大なものであることが明らかになり,“更年期ロス”と呼ばれている.更年期ロスとしては離職や昇進の辞退が多いとされ,そこに至った原因としては,更年期によくみられる精神的症状が関与している可能性がある.更年期障害は,更年期に現れる症状の中で,器質的変化に起因せず,日常生活に支障をきたす病態と定義される.その症状は,血管運動神経症状に加え,精神的症状,泌尿生殖器症状,その他に大別される.また,女性において更年期はうつ病の好発時期でもある.更年期障害に対する薬物療法としては,漢方療法,ホルモン補充療法(HRT),抗うつ薬が用いられる.更年期障害では一人の女性が同時に多くの症状を訴えることが多く,漢方薬やHRTの有効性も高い.当事者だけでなく周囲も含めて更年期障害についての理解を深め,適切に治療を行える環境を作ることが,更年期ロスを減らす足がかりになると考えられる.

言及状況

外部データベース (DOI)

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【更年期障害と労働】 女性の更年期障害による経済損失は、年間4,200億円にものぼると試算されているとのこと。 なにより更年期障害による症状って本当にツラそうなので、もっと鍼灸師として出来ることがないか考えよう。 https://t.co/deJOk9ilEl
2018年の経済産業省の報告によると、女性従業員の18%が更年期障害のために勤務先で困った経験をしたと回答していた。また、女性の更年期離職による経済損失は、年間4,200億円にものぼると試算され、近年“更年期ロス”と呼ばれ話題となっている。https://t.co/FHwaivZgK2

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