著者
尾縣 貢 高本 恵美 伊藤 新太郎
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.573-583, 2003-09-10 (Released:2017-09-27)

本研究の目的は,上肢の無気的作業能が400m走中の走速度逓減およびパフォーマンスに及ぼす影響を検討することであった。400m走50.70±1.38秒のタイムを持つ十種競技者10名を対象に,400m走中の40m毎の速度変化,ゴールタイム,30秒間のペダリング中およびクランキング中の最大パワー,平均パワー,パワー低下率,それぞれの運動5分後の乳酸値を測定した。主な結果は次の通りであった。1)クランキング後乳酸値/400m走後乳酸値と400m走タイムとの間には,有意な負の相関関係が認められた。この結果から,高い強度の無気的運動に耐えうる上肢の能力を高めることが,400m走のパフォーマンスを高めることにつながるものと考えられる。2)400m走では,10名全員が80m地点通過後に速度逓減を示し,ゴールまで逓減を続けた。80m以降の速度逓減は直線回帰式で表すことができ,その傾き(絶対値)を速度逓減指標とした。この速度逓減が緩やかな者ほど,400m走タイムは短いという関係が認められた。3)320-360m区間(第8区間)から360-400m区間(第9区間)への速度逓減は,上肢のパワー低下率および下肢のパワー低下率との間に有意な正の相関関係が認められた。これは,上肢のパワー発揮の持続力に優れることがゴール前の速度低下を小さく抑えることにつながることを示唆するものである。以上のことから,上肢のパワー持続能力がゴール前の速度逓減に影響を及ぼしていることが明らかとなった。

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