- 著者
-
松岡 紘史
坂野 雄二
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.2, pp.95-102, 2007-02-01 (Released:2017-08-01)
- 参考文献数
- 29
- 被引用文献数
-
23
本研究の目的は,痛みに対する破局的思考の程度を測定するPain Catastrophizing Scale (PCS)の日本語版を作成することであった.大学生449名を対象に自己記入式の調査を行い,探索的因子分析を行ったところ,PCSは3因子13項目で構成され,内的整合性も高かった.また,PCSは痛みの重篤さと生活障害の程度との間に正の相関関係がみられ,PCSの下位尺度のうち「無力感」は他の2つの下位尺度と比べて,Coping Strategy Questionnaire (CSQ)の下位尺度である破滅思考と最も相関が高かった(γ=0.67).さらに,抑うつや不安の程度を統制した場合でも,PCSは痛みの重篤さや生活障害の程度を予測した.以上の結果から,PCSは,高い信頼性と妥当性を有する尺度であることが明らかにされた.