著者
石川 俊男 田村 奈穂
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.122-127, 2014-02-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
3

摂食障害(ED)の治療や研究の最近の動向について述べた.2013年,DSM-IVが改訂されDSM-5が公開された.そこではさまざまな変更が行われ,その例として,むちゃ食い障害が特定不能の摂食障害から独立した扱いになっている.治療面では,これまで報告されてきた精神療法の効果の有無をRCTで検討する研究が進められた結果,神経性無食欲症(AN)で治療成績の改善が得られ,認知行動療法(CBT)の神経性大食症(BN)に対する有効性の科学性が高まり,第一選択治療法との位置づけが確立した.薬物療法に関しては,BNに対してむちゃ食いなどの症状に対する治療効果が多くの抗うつ薬や向精神薬,抗てんかん薬などで確かめられた.新たな生物学的治療法として経頭蓋磁気刺激法(repetitive transcranial magnetic stimulation : rTMS)がEDにも試みられているが,その有効性については今後の課題である.一方で基礎研究面では,これまでのように遺伝子研究,神経伝達物質研究,脳画像研究,神経回路網の脆弱性などさまざまな研究結果が出されている.例えば,ニューロイメージング研究ではEDの病態生理の脳内メカニズムとして,ANで認知的柔軟性課題遂行中の腹側前頭葉-線条体回路の活動性の低下や食物に限局した恐怖・情動ネットワークの過敏性の亢進,BNでは食物刺激に対する報酬系の反応性の低下などが指摘されている.

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