著者
佐藤 康弘 福土 審
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.790-796, 2017 (Released:2017-08-01)
参考文献数
29

摂食障害の発症, 維持にはストレスが深く関与しており, 対人関係ストレス, 虐待, 喪失体験などが摂食障害のリスク要因として知られている.神経性やせ症 (AN) 患者は認知制御が過剰で, 情動処理の活動が抑制されていることがその病因, 病態に深く関与していると考えられるようになってきた. 対人関係ストレスに関連する不快な語彙を用いたfMRI研究では, AN患者は背外側前頭前野など認知制御を司る領域の活動が亢進し, 一方で失感情症傾向が強いほど情動に関わる扁桃体などの活動が低下していた.われわれは認知柔軟性課題をAN患者に施行したfMRI研究により, 腹外側前頭前野の機能低下を報告している. また, 認知制御と報酬評価の機能を統合した意思決定課題において, AN患者は背外側前頭前野の活動亢進を示した. これらの知見もまた過剰な認知制御による情動処理抑制の証左となる. 摂食障害患者における神経回路の異常がストレス対処行動の異常につながっている.

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J-STAGE Articles - ストレス関連疾患としての摂食障害 https://t.co/YlhyA9qSCh 情動と認知制御の働き、これは結構分かりやすいかも~
J-STAGE Articles - ストレス関連疾患としての摂食障害 https://t.co/YlhyA9qSCh 脳の機能からしてANは認知制御が過剰で、情動処理が抑制されている…らしい。なるほど???理性>感情みたいな感じか?その状態が偏っていて、過剰すぎる、と。回復したANも同じ傾向

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