著者
野間 俊一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.215-219, 2022 (Released:2022-05-01)
参考文献数
3

摂食障害の治療は容易ではないが,その精神病理を理解し適切に診立てることで,患者に応じた精神療法を行うことができる.摂食障害の症状の本質は「こだわり」であり,その背景には自己存在の不確かさに由来する「完璧主義」が認められる.症状が慢性化しやすい理由としては,摂食障害が「嗜癖」という側面をもっていることと,他者からの評価を過剰に意識する「自己過敏傾向」が存在することが挙げられる.診立てるためには,摂食障害のステージ,パーソナリティのタイプ,動機づけレベルの3つの軸から評価すべきである.すなわち,ステージは初期・持続期・慢性期,タイプは反応葛藤型・固執型・衝動型,動機づけレベルは回復の段階・怯えの段階・否認の段階と分けて病理の深さを評価する.外来診療では,簡易版認知行動療法を中心に据えながら,病理の深さに応じた治療的アプローチを行う.治療者が患者とともに回復のイメージを共有することが重要である.

言及状況

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"大事なことは症状を取り去ることより患者の人生が豊かになることを念頭に働きかけることである(中略)患者が回復していくイメージをしっかりともち,そのイメージを患者と共有することで患者に変化していく勇気を与えることこそが摂食障害の精神療法の最も肝要な点なのである" https://t.co/6ow16VyHwS

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