著者
牧平 清超 二川 浩樹 西村 春樹 西村 正宏 村田 比呂司 貞森 紳丞 石田 和寛 山城 啓文 金 辰 江草 宏 福島 整 浜田 泰三
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.403-411, 2001-06-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
22
被引用文献数
4 4

目的: 本研究は, 市販義歯安定剤の細胞活性への影響および炎症性サイトカインであるインターロイキン1βの発現誘導に及ぼす影響を検討した.方法: 細胞活性への影響はaqueous soluble tetrazolium/formazan assay (MTS法) を用いて, またインターロイキン1βの発現誘導はEnzyme-linked immunosorbent assay (EUSA法) を用いて評価した.結果: クリームタイプを中心とした義歯安定剤は, 強い細胞活性の減少を示した. 特に新ポリグリップ無添加が最も低い細胞生存率を示した. 一方, ポリデントを除くクッションタイプでは, 細胞活性に対する影響をほとんど認めなかった. 粉末タイプおよびシールタイプでは, これらの中間の作用を示した. これらの細胞に対する作用は, pHの影響ではなくむしろ義歯安定剤の成分に大きく依存していることが示唆された.また, 細胞活性に影響を与えない6製品でインターロイキン1βの発現を検討した結果, すべての製品で誘導を示さなかった. しかしながら, 歯科で使用される材料由来の環境ホルモンによる人体への影響が懸念されているなか, 今後さらに分子レベルにまで踏み込んだ検討が必要と思われる.結論: 義歯安定剤にはこれまで報告されている機能面での為害性や細胞生物学的な為害性も有している製品もあることから, その使用にあたって歯科医師の十分な管理が必要と考えられる.

言及状況

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