著者
久光 正
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.378-391, 2011 (Released:2012-02-06)
参考文献数
16

血液流動性 (BF) と東洋医学において重要な証であるオ血との関連およびストレス負荷、 鍼刺激、 漢方薬投与、 交感神経作動薬投与の影響および作用メカニズムについて検討した。 その概要について述べる。 BFは血液流動性測定装置 (MC-FAN) あるいは血小板凝集能測定装置(PA20)を用いて測定した。 また、 一部の実験では血中ATPレベル、 酸化ストレス度、 抗酸化力についても測定した。 昭和大学病院漢方外来を受診したオ血証患者は非オ血証患者より有意にBFが低く、 1ヶ月の駆オ血薬投与によりBFが有意に改善した。 ラットに各種のストレスを負荷するとBFは有意に低下した。 また、 血小板凝集能の亢進、 血中ATPレベルの増加、 酸化ストレス度の増大、 抗酸化力の低下が生じた。 電気鍼刺激を毎秒1回、 60分間ラットの足三里、 合谷、 三陰交に加えるとBFは有意に亢進したが、 腎兪、 内関への刺激では有意差は認めなかった。 また、 足三里への電気鍼刺激はストレス負荷によるBFおよびその他の変化を有意に減少させた。 ナロキソン投与は足三里への電気鍼刺激によるBF亢進に有意な影響を示さなかった。 また、 α受容体作動薬およびβ受容体遮断薬投与ではBFが有意に低下し、 α受容体遮断薬およびβ受容体作動薬投与ではBFが亢進した。 オ血には血液流動性の変化が関わり、 また、 BFの変化に交感神経系の活動および血中ATPレベルの変化が影響している可能性が示唆される。 電気鍼刺激によるBF亢進作用にはオピオイド系の関与は少ないと考えられる。 また、 電気鍼刺激がストレス負荷によるBF低下やその他の血液変化に対し拮抗作用を示すことから、 電気鍼刺激にはストレスによる影響を抑制する作用がある可能性が示唆される。

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