著者
福田 敦夫
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.001-011, 2011 (Released:2011-03-11)
参考文献数
25

最近,幼少時の麻酔暴露と学習障害の関係が出生コホート研究により指摘され,臨床麻酔学上の問題として注目を集めている.動物実験レベルではGABAA受容体作動薬などの麻酔・鎮静薬が発達過程の脳に器質的変化を伴う脳機能障害を起こすことは知られていた.一方,発達期の脳におけるGABAの作用はマルチモーダルなものである.すなわち,中枢神経系の最も主要な抑制性神経伝達物質であるGABAは,神経細胞発生期にはシナプスを介さない傍分泌的作用で発生や移動にかかわり,回路形成期には興奮性伝達物質としてシナプスの形成・強化に関与する.そして成熟後にはじめて抑制性神経伝達物質として作用する.このように,GABAには発達段階に応じた3つの役割があり,発達初期における役割は古典的概念の抑制性伝達物質とは大きく異なっている.したがって,幼少時の麻酔暴露の影響は,これらのマルチモーダルなGABA作用を増強することでもたらされる可能性がある.

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勉強になりました https://t.co/ml9ZcbhrZb
マルチモーダルなGABA 発生期 シナプスを介さない傍分泌的作用 形成期 興奮性神経伝達物質として作用 成熟後 抑制性神経伝達物質として作用 所謂「アップレギュレーション」中は、 GABAの作用はここでの「発生期」・「形成期」のいずれかに類似するかもって想像した https://t.co/s5U8pfUdGS

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