著者
大澤 啓志 新井 恵璃子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.337-343, 2016 (Released:2017-03-16)
参考文献数
60
被引用文献数
1

花木であるアジサイの植栽利用に関わる文献類の渉猟を行い,その植栽に対する嗜好の時代変遷を考察した。また,観光対象としてのアジサイ寺の成立時期について,文献・ヒアリング調査を行った。嗜好の時代変遷では,鎌倉時代頃から庭への植栽が普通となり,江戸時代にはアジサイの栽培・増殖法も記された出版物が発刊されるとともに,「花が多数群れ咲く」ことへの嗜好の萌芽が認められた。明治以降も庭への植栽は普通に行われており,またセイヨウアジサイの輸入が始まり,公園等に群植がなされていた可能性もあるものの,直ぐには今日のようなブームにはならなかった。この間,「アジサイと社寺」の関わりを示す資料が認められた。そして 1960年代以降になって明月院 (神奈川県鎌倉市) に群生するアジサイが多くの人の目に止まり,これまでには無かった新たな観賞価値がアジサイに付与され,今日的な嗜好が確立されたと考えられた。各地で植栽される観賞用の緑化植物の一つであるアジサイについて,「庭の花木」を経て「社寺の花」という文化を底辺に持ちつつ,今日の「群生する花の美」の価値が生じた過程を明らかにした。

言及状況

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J-STAGE Articles - 我が国におけるアジサイの植栽に対する嗜好の時代変遷 https://t.co/pgL8PMP63Y この記事が凄く面白かったです
(なおこのツイートは戦中をイメージしているが、鎌倉のアジサイ寺のひとつとして有名な明月院での植栽は戦後。紫陽花の植栽自体は江戸〜明治期には珍しいものではなかったが、アジサイ詣でがブームになったのは1960年代頃とされる。参考文献 https://t.co/deVBb2iv5v)
https://t.co/It8uQWNTx6 そのものではないけど面白そう
万葉集でも2首しか読まれてないらしく、平安時代も一般的な植物ではなかったとか https://t.co/ovkEBCFlUl 同時代の人の心はとらえない地味な花の中にも美しさを見出せるのはある種の美点と言えるんじゃないだろうか(センスがないと言われればそれまでだが)
https://t.co/llt9vOSr5v アジサイが人気になったのは戦後みたいでそれまでは主にお寺に植えられていたらしいです
この論文によるなら、いわゆる「アジサイ寺」のようなブーム的な様相になったのは高度経済成長期以降としても、それまで庭木の身近な植栽として日本人には親しみがあったものでしょう。園芸としての人気が低かったぐらいの意味かもしれませんね https://t.co/MYriV0DHwx

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